サボり中のねいちゃんの代わりに書いちゃえ

ぼくはビッケ。



『今日はお天気だから散歩に行こうね』っていってたのに
ねいちゃんはストーブのそばで本を読みながら固まってる。
うそつきだなーっていったら『今日は寒いよ』だって。
この前も、その前も『今日は寒いよ』っていってたじゃんか。
でもぼくもあんまり寒い日は外に行きたくないからいいや。



最近ねいちゃんはよくぼくに話しかけてくるんだ。
友達からもらった本に『猫と話すことはできます』書いてあったんだって。
ってことは、
ぼくはいつもちゃんと話してるのにねいちゃんにあんまり伝わってなかったんだ。ショック。



ねいちゃんはだいぶ前からその本を読んでるのになかなか読み終わらない。
カタカナの名前が出てくるとだれがだれだかわからなくなっちゃうんだって。
行ったり来たりしながら読んでるみたい。
おかげでぼくは遊び相手がいない。
あんまりつまらないから戸だなの上でねた。



それからしばらくしてねいちゃんはぼくを呼んだ。
とってもたいくつだったからぼくは戸だなからおりてねいちゃんのひざに乗ってやったんだ。
なんか、そうして欲しそうな感じだったからね。
ねいちゃんやっと本を読み終わったみたい。
ぼくすごくひまだから遊んでもいいよ、って言ったら
ねいちゃんはぼくをじっと見て鼻をズルっとすすったあとに
ニヤッと笑ってぼくを床に下ろして何か探しに行った。



戻ってきたねいちゃんの手にはぼくの大好きなビニール袋のボールがにぎられてた。
ぼく、言ってやった。よくできました、って言ってやった。
ねいちゃんはまた鼻をずるっとすすって笑った。
まゆ毛が八の字になっているのに笑ってら。変な顔だったよ。
ねいちゃんが持ってきたビニール袋のボールをポーンとなげた。
ぼくはいつもボールをさがして持っていってやるんだ。
キャッチボールは楽しかったけど久しぶりだったからすぐつかれちゃって
ねいちゃんの横にねっころがっちゃった。



『なぁーんだ、ビッケ君ねいちゃんに甘えたいのかぁー』
ぶぶー。違うよ。
もうちょっと上手に話せるようになってよね。
ハズレだったからバツとしてねいちゃんの手をかんでおいた。