変形

帰宅するといつものようにビッケがしっぽを立てて近づいてきた。
くねくね動くしっぽがいつもとどこか違う。



形がおかしい。



以前一緒に暮らしたシロチはおもしろいほどコンパクトな兎のようなしっぽだった。
触るときちんと反応してプルンと振っていた。
だがこのビッケ、長いしっぽが水に浸ろうともテーブルのそばを通った時に飯粒がつこうとも
一向に構う様子がない。
長いしっぽの猫はあんまりしっぽに頓着しないのだろうか。
それともビッケがヘンナヒトなのか。



ビッケのしっぽの形がところどころいびつになっている。
まさかと思いいびつな箇所の匂いを嗅ぐとほんのり香ばしい香りがした。
朝方ストーブをつけた時、ちょっと目を離した隙にしっぽの毛を焦がしていたらしい。



水や飯粒ならまだいい。
お願いだから、火だけは気がついてちょうだいよ。
ヤキネコになるのは嫌だからな。



ストーブのそばでごろりんするのは禁止。
ストーブのそばでごろりんしようとするビッケのそばを離れるのも禁止。



とりあえず、火傷をしていなくてよかった。