さよならニセビくん

夕方食材の買出しに出かけたついでにホームセンターに寄った。
このホームセンターのペットコーナーにはビッケのそっくりさんがいる。
真っ黒な体にうっすら入った縞、金色の目、ランダムに寝癖のついた白っぽいヒゲ。
尤もビッケとは違って何万円もする彼。
彼の入っている場所には『アメリカンショートヘアー』と書いてあった。
アメショとは銀色の体に黒い縞が入ったものだとばかり思っていたのだが
彼を見て黒いやつもいるんだなぁ、と知った。
だいたい食材の買出しに出かけたついでに寄るのだが
彼を見るとああ、早く帰らなくちゃビッケが淋しがるなぁ、といつも思った。


今年の3月3日に生まれたと表記されている彼。
表記の上に『予約済』の札を見つけたのはしばらく彼の前でチャリの鍵をぶらぶらさせて遊んだ後だった。


ニセビ君、おうちが決まったんだね。
新しいおうちで元気で幸せにね。
スレンダーな君もおうちが決まったらきっとプクプク太るんだよ。うちのビッケとおんなじようにね。
ビッケよりひと回り小さな金色の目を見ながら太ったニセビ君の姿を想像してちょっと笑った。


今日も早く帰ろう、早く帰ってプクプク太ったあいつと遊ぼう、と思った。